「陽気な家」の誕生

このままでは万年佳作ではないかとの危機感を持ちつつ、独立以来数年過ごしていたが、人前に出れば、優等生ぶって自分を誤摩化していく行き方も限界であり、道化師のように陽気に過ごすのが健康的かも、うんそうかも、などと思いつつ目の前の仕事に当たって…

団地よ、荒廃せよ。若者よ、集落に帰れ。

団地の荒廃がとまらない。かつて、「団地よ、山に還れ。民よ、集落に還れ。」という記事を書いたけど、それ以降も、どんどん寂れて来てる。就農とか、田んぼの再生・林業の再生とか、そういうのを絶えず聞くけれども、その人たちも、費用対効果を考えて、「…

理想は核家族、ばつ。理想は大家族、まる。

結局、戦後の住宅生産構造が役割を終えたにもかかわらず、いまだにのさばっていて、老害達の無意味な欲張りが日本の住宅を混乱させてきたという事でファイナルアンサーではないか。社会の構造は裏も表も上も下もあっていいだろうが、今の構造を無理に変える…

戦後の住宅生産構造の罪は大きい

100円払っても実際の住宅に使われるのは、40円とか50円くらいのメーカー住宅が今日も売れている。消費税が増税されるとか、そんな外的要因にプッシュされて、サインしてハンコを押す人が止まないということらしい。大繁盛だ。消費増税されるとか・されないと…

ワイルド系

以前、「ほっこりさんは嫌いです」という記事を書いたが、最近は「ほっこり」という表現は余り聞かなくなった。かといって、絶滅したわけではなく、「ほっこりさん」はいまだに生息している。ナチュラル系、とでも言えばいいのだろうか。あの記事を書いたあ…

ソーホーのロフト感覚の源

(山口自邸、学生服の縫製工場の再生)縫製工場を改造して住居にするというのは、東京発の雑誌的には「リノベーション建築」の一例として、興味あるところかもしれないが、ここ、倉敷市児島という街に住んでいると、それが、そんなに珍しいことではない。な…

資料;2001年11月25日クリスチャン新聞第五面

2001年11月25日クリスチャン新聞第五面をスキャンして、アップしました。 内容としては、新しいものは何もありませんが、資料の一つとして保存しておきます。学部での論文がもとです。

昔の家は派手だった

昔ながらの民家というのは、暗くて、不潔で、近寄り難いものだ。おまけに、玄関引き戸はガタガタ言うし、ガラスが擦り落ちそうなこともある。すきま風はあるし、壁が少なく建具だらけなので、隣の部屋の妹がウルサくしているのがダダ漏れで、読書もままなら…

畳の再評価 ------ 畳屋よ、値上げするべし。

自分は不当に扱われているのではないか。そんな風に感じるとき、人は立腹し、歯を食いしばる。声をあげ、また時には手を上げる。同じように、畳は不当に扱われているのではないか。身分相応の扱いを受けていないのではないか。畳はきっと怒っている。今回は…

これが教会堂の基本形だ

前回の記事では、過去20年間を振り返ったので、最近山口晋作を知った人には、簡単な自己紹介になったかもしれない。それで、わざと書き残した教会堂のことについて、今回は触れることにする。たまに書いておかないと、専門であることを世間から忘れられそう…

回顧録;20年を振り返って(1992−2012)

ちょうど、20年前に現在の姿に近い自分の将来を思い描いていたのを思い出した。先日、ヴォーリズ建築事務所の元社長、石田忠範さんとお会いする機会があって、二十年経った事に気付いたのだった。20年前に、当時もそして現在も所属しているキリスト教会が、…

よい家具でよい生活を

売れない設計屋の私でも、時に金銭感覚が麻痺して、お高いものを買ってしまうことがある。その代表が住宅建築時に購入した家具たちだ。住宅建築中だと、家具が安く見えてしまう、というよくある勘違いで購入決定に至ったのだ。これを読む方もそういう経験は…

「カッコいい」という価値から、入っていく

(楢村徹設計室時代の担当物件) その昔、まだこの仕事に就いて、一年目か二年目の頃だったと思うけど、先輩の担当部件が完成しかけた頃、現場から帰って来た先輩が「自転車で走ってる高校生が『あの家、カッコいいよな』って、友達と話しとったんよ、うれし…

インテリアとか。

雑誌で言えば、老舗の「モダンリビング」や「住まいの設計」、そして最近は「I’m home」「ELLE DECOR」などもその仲間となった「インテリア系」の話をする。 インテリア(内部)というからには、外部(エクステリア)の世界も当然あるわけだが、それはやっぱ…

初めての広告

「是非、一度事務所へお出で下さい。」なんて、初めて書きます(笑)。こういうの、宣伝とか、広告とか、いうんでしょうか。 先のエントリーが長過ぎたので、短いバージョンを載せます。このくらいなら、すっと読めるでしょう。 【私のスタイル】 第二次大戦…

改めて、「私の姿勢」

漆黒の天井と共に 下津井の路地の中で生まれ育った私は、オイルショック後の生まれとしてはめずらしく、自然と日本家屋の持つ魅力を体感できる環境で育ちました。明治末の実家には、通り土間と井戸があり、神棚が至る所にありました。また、漆黒の天井がつく…

住まいを諦めない。

海外旅行から帰って来ると,日本の町並みが貧しく感じます。日本の住まいが貧しくなるのは、住まいで生活する時間が極端に短くなっていることも関係しているはずだ、と以前書きましたが、今年の調査では、どうやら、労働人口の9割がサラリーマンとなっている…

「西山夘三」というアシカセ

戦前に国民の住環境改善を目的に住まいの現状を調査した西山夘三という学者がいた。大阪万博に至るまで影響力を持った偉大な方だったが、その方の成果として、「食寝分離論」というのがある。調査の中では、狭い住宅の中で、食事する部屋と、寝る部屋が、同…

建物は土地ではない

当たり前である。 でも、日本においては、それが、どっこい。そうでもない。建築に限らず、なんだか、自分の住んでる世界と違うように、感じる時には、「とても基本的なこと」が分かっていない場合が多い。「でも、お高いんでしょう?!」と、感じるときが、…

ヤナセ問題

「ガイシャは直ぐに壊れる。壊れると修理費が高い。だからガイシャは乗らない。そもそも値段が高いじゃないか。」 これが、日本において輸入車が敬遠される主な理由である。でも、最近輸入車多くなったよね、というそこのあなた。輸入車シェア過去最高を記録…

弱きもの小さきものを重ねて

生まれ育った下津井には、明治時代からの建物が朽ちて崩れそうな状態で多数、放置されている。 日本の建物は、木で骨組みを組んで、土と紙で作っていくのが、常だった。木が豊富に有り、山も多いので、それが身近な素材だったのだろう。時間が経つと、この二…

プライベートガーデン

敷地の裏に山がある土地を施主さんが探して来て、この崖が使えたらいいですね。というところから始まった住宅が完成しました。誰にも邪魔されず、居間からはウッドデッキに続いて、斜面に植わった緑が見えるという最高の状態です。施主さんもとても理解のあ…

明日から盆休み!

みなさん、バテてませんか。毎日暑いですが、明日からお休みです。 よい休日となりますように。 さて、我が家では、夏対策として、「置き屋根」という手法を用いています。 直射日光の熱が、室内に伝わらないようにする為に、屋根を浮かせているんです。 古…

両備バス 西大寺バスターミナル

少し前に行ってきた。50年前の建物です。 浦辺鎮太郎設計、藤木工務店倉敷支店施工。1966年築。 それにしても、この帽子っぷりが堪らない。広いピロティを有し、裏にあるターミナルでは、長大な庇で乗客を守るという、機能性を徹底して満たしている。 二階に…

私の家、浴室報告、四年の実績

今日は、私の家の浴室の報告をしようと思います。建物が完成したのが、四年前の5月なので、今月で丸々4年が経ちました。四年の実績です。こちら、今日。 こちら、完成直後。 では、報告ですが、まずは、床です。大手水廻りメーカの「東陶」いや、「TOTO」と…

作品解説 土間の家3

「土間空間の効用」(一般向け) 日本の住まいから、「土間」が消えたのは、それほど昔のことではない。戦後期に「田の字型」平面の土間や町家の「通り土間」が、文化的といわれた改修によって、床が張られていったのは、火と水の扱いが容易になった為と、勤…

黄金週間はじまる

黄金週間、昨日からはじまりました。 巷では、「9連休」なんて、私には縁のない言葉が飛び交っていますが、それなりにお休み気分になったので、洗車をしてみました。普通のクルマ用シャンプー剤で洗ったあと、「メラミンスポンジ」で気になる汚れをごしごし…

浦辺さんの日本工芸館

先日、浦辺さんの処女作が改修されていました。旧館と新館を繋ぐなまこかべは、新しい命を頂いたようです。 下から見て、この屋根が置き屋根でしかも、スペイン瓦を葺いていることなど、観光客の誰が気付くでしょう。 下の写真は、大阪市にある「日本工芸館…

アーリーアメリカン調の雰囲気

「アーリーアメリカン調」とは、なんとも有難い言葉です。そんなことは考えたこともありません。「その昔、ニューヨークSOHOに移り住んだ芸術家たちが、自分で倉庫を改装する際に、手頃な材料を使って、かたちを整えた上で、塗装を塗りたくって、その場を整…

教会の床の間

先日のことです。私が通っている教会に、スウェーデンからお客様が来られることになり、それなりのおもてなしをしようと、会員の方が、準備してくださいました。 お茶室とお座敷を正式に、とまではいかないまでも、それに近いかたちで、おもてなしの心をもっ…