私の家、浴室報告、四年の実績

今日は、私の家の浴室の報告をしようと思います。建物が完成したのが、四年前の5月なので、今月で丸々4年が経ちました。四年の実績です。

こちら、今日。

こちら、完成直後。

では、報告ですが、まずは、床です。大手水廻りメーカの「東陶」いや、「TOTO」と書いた方が分かり易いですが、ここの会社が浴室の床で押しているのが、「ホッからり床」という商品なんですが、「ひやっとしない」「翌朝さわやか」などなどの機能は、昔からある「簀の子」で満たされていることが、この四年間の使用で確認できました。浴室の床は、簀の子敷にすることを、皆々様にお勧めします。やっぱり、木がいいよな、というのが結論です。板の両端が既にカビ始めていますが、簀の子は一つ当たり800円ですので、天日干しなどの除菌対策をしても、もうダメだなという状態になったら、3個2400円を近所のホームセンターに払って、また買ってきます。

次に、世の奥様を悩ます「かび」ですが、この壁のように、「継ぎ目のない状態」というのが、浴室などの壁には理想型でして、世を席巻する「ユニットバス」であっても、その「継ぎ目」というのは、出てくる訳ですので、やっぱり、我が家の「塗装の壁(モルタル下地)」というのが、最強かなと(むりやり)思っています。こんどは、「FRP防水(合板下地)」という荒技に挑戦してみようと思っていますが、見た目に清潔感がないので、山登りを趣味としていて、テント生活に慣れているような冒険家夫婦みたいなワイルドで生活力のある人達でないと、ご賛同は頂けないでしょうね。あ、あと、壁で大事なのは、「断熱」ですので、ユニットバス以外の構法で作る場合は、断熱材をしっかり入れることが大事ですね。

最期に浴槽ですが、現在駐車場になっている位置に、母屋が有り、そこの浴室に戦前の「五右衛門風呂」があったので、それをそのまま使おうと、このような設定になっていたのですが、あまりにも、さびが進んでいたので、新品を入れることにしました。もちろん、薪は焚きませんw。そんな牧歌的な生活は出来ないので、浴槽メーカーに無理を言って、「追い炊き穴」をあけてもらい、もちろん、水漏れチェックもしてもらって、これをみる皆さんのお風呂と同じように、台所の給湯器リモコンの「おふろ」ボタンを「ピ!」と押すことによって、熱いお湯が浴槽に投入される仕組みになっています。
これをみて、「トトロの風呂」みたいだなと、思う人が多いと思いますが、足が伸ばせない代わりに、首まで浸かれる、という特典以外では、「トトロっぽい生活」という心情的な利益があるくらいで、「人工大理石浴槽」とどっちがいいか、というのは、これはもう、四年の実績でもよく分かりません。まあ、好みでしょうね。ただ、ひとつ言えるのは、この鉄製のホーロー蝋引き浴槽の外側に、「発泡ウレタン断熱材」みたいな、断熱材を充填できなかったのは、施工中の私の落ち度でして、家族には申し訳ないですが、これだと比較的お湯が早く冷めます(汗)。いまのところ、お風呂に入るタイミングが連続しているので、まあ、許してもらっています。ありがとうございます、>家族。

まとめて言いますけれど、あまりにも、「新しい」「便利」「作るの簡単!」「お掃除簡単!」のような、お得感ばかりを過剰にもとめて、「人並み」な生活を得よう、という方向に進んで行くのではなく、基本的機能を押さえておけば、例えば私がよく参考にする「こんな本の旧版」(私のは昭和52年刊、初版は昭和34年)を片手に、設計者なりのデザイン感覚を加味して、真っ当に作りさえすれば、現代にも通用する良いものは出来て行くということだと思います(あ、この浴室、値段もお安いので、その点も言っておきます、これ、大事です)。
こういったことは、住宅に留まらず、より広いデザイン行為に共通することだと思いますが、考えるのは疲れるし、失敗もありますので、設計屋さん各位も、また私自身も切磋琢磨して、「良いものつくろう運動」を進めて行きたいなと思います。ということで、四年を経過した浴室の報告でした。あ、仕事に戻ります(汗)。