減築デザイン、のすすめ

以前、「ほっこりさんは嫌いです」という文章を書いたけれど、建築でもやっぱり同じで、ああゆう感じに振る舞うデザインは、僕にはどうも軽く感じられます。どういう風に軽いかというと、こっちは今までの問題を整理して、これから先どうやって乗り切ろうかと、酒も飲まずに口角泡を飛ばしながら朝まで語り尽くそうかとしているのに、あっちはその周りをちょろちょろと走り回る子供の様なんです。ま、余計なお世話ですが。

さて、営業科目に「減築デザイン」を加えます。もう何年も前に世帯数より建物数が上回っていましたが、ここ数年で人口も減少に転じている今、建設業界では、改修や修繕、増改築が仕事の主流になりつつあります。それと同時に、やはり解体というか、家を壊すことにも需要があるわけで、その壊し方というか、増築ではなくて、減らす方向、言ってみれば、「減築」することにも、多少の注意を払いませんか、というのが、今回の主題です。増築するときも、例えば子供の成長にあわせて、必要に迫られて作るなど、時間とお金がない中で行き当たりばたりで、作ってしまうことも良くあることですが、減築するときにはそれ以上の素早さで、「はい、おしまい!」と壊されてしまうことでしょう。そこを、ちょっと待った!というわけです。折しも、倉敷駅の駅ビルで、減築の計画が持ち上がっている(倉敷ステーション開発株式会社の解散について)ことは、この地域の象徴的な出来事でしょうが、自分の家の減築も、すこしばかし、立ち止まって考えてみては、どうでしょう。

減築デザイン;広くて手に余るお住まいの整理の仕方を指南します。指南するのであって、図面は書きません。お話しを伺い、それに従ったおすすめをします。使わない部屋が多くて物置状態が長く続いている部屋は、ありませんか。ゴミを捨てるとともに、部屋自体もなくして、すっきりとした理想の生活をプロデュースします。家が広ければ、広く使えてよさそうなものですが、片付けなくても生活できる面もあるので、案外、ゴミが主人なような家になりやすいものです。また、部屋単位でなく、建物単位で丸ごと倉庫になってしまっているものはありませんか。それが実は、戦前の古い母屋だった、なんてことも良くあることですが、それならば、今こそ、その古民家を再生するときです。減築は新築や再生と同様、これからの家族の住まい方、生活全般を反映する必要がありますので、ご家族で十分に意見を交換しつつ、打ち合わせに臨んでください。家族の一致があれば、もう減築も成功したようなものです。今までの生活で、必要に応じて作っていった建物が役割を終えるときが来たのです。

結構本気だったりする。でも、これって、モノを作らないから、お金、もらいにくいんですよね。でも、まあ、今でも社会奉仕活動みたいなもんだから、大差ないかもしれません。うん、きっと。