スウェーデンハウス

先日、教会の関係でスウェーデンからのお客様を一日中観光案内して過ごす機会がありました。キリスト教会の牧師家族ですが、日頃使っていない英語脳を知恵熱を出しながら、フル回転させました。

身近な瀬戸大橋を下津井港から眺めたあとは、1,000円になった高速を、児島から橋の中間・与島のサービスエリアまで走り、1,000円のボーダーラインである早島まで走った後に、音楽祭で賑わう、倉敷美観地区を案内しました。当日はとても気候がよく、熱くも寒くもなく散策日和でした。おいしい和食を食べた後には今では庭同然となった美観地区の路地を縫うように歩き、江戸明治の世界と現代が入り交じった倉敷独特の雰囲気を楽しんでいただけたようです。瀬戸大橋と母国のオースレン橋が姉妹橋なのに驚き、沖縄太鼓集団の踊りがスコットランドのそれに酷似しているのに驚いていました。時間が余ったので鷲羽山山頂に上って多島美を眺めた後に、ヤマグチ家で珈琲とデザートを食べて過ごしました。

ちょうど60年前、遠くスウェーデンから日本に宣教師がやってきて、奇しくも岡山県を中心に20あまりの教会を設立して、僕もそのうちの一つの教会に属しています。珈琲館という珈琲ショップでは、僕ら日本の教会がいかに感謝しているかを伝える機会も得ました。

今僕は彼らの先輩であった宣教師が住んでいた宣教師館を再生する仕事に恵まれています。こういう環境で生活していると、多くの献身的な働きが今の生活に繋がっていることがよく実感できます。先人たちの努力の上に自分たちの暮らしが載っかっていることが分かるんです。今僕自身が住んでいる家もかつては毎週のように宣教師がやってきた家ですし、それ故に先人たちへの敬意の念が沸き、建物自身に対してもまた、礼儀をわきまえなければという想いが生まれます。また、この家に住むであろう家族にとってみても、自分たちの家ではあるけれども、60年を経た家で、多くの人が関わった家なので不思議な感覚を感じることもあるかも知れません。案内した牧師家族にこのことを話すとずいぶん喜んでくださいました。デザインする側からみると、いままでのように、日本の伝統的な住宅スタイルの上に展開していたデザイン手法をそのまま使うことはできませんが、これぞスウェーデンハウスと、言ってもらえるような家にしようと想いを膨らましています。