世界平和か、家庭平和か

建築デザインの仕事をしていると,技術的な面も相当鍛えられる。力学はもちろん,水道や電気のこともだ。最近の流行でいうと,特にエコロジー的宣伝方式にめっぽう強くなる。各種団体は少しでもエコロジー的方向性があると,ウチのこれはエコなんです,と宣伝したがる。この間書いた,「ほっこり系」よりも世の中への浸透具合は深刻だ。皆さんお金がない時代なので,どうにかして節約することを考えるし、そういう時代だからこそ、便利なものや簡単なものが発明され易い。

さて、皆さんのお家は「電化住宅」ですか?実は我が家はそうなんです。こんな家でもそうなんです。一方,ガス会社が売り出している「エコウイル」という商品もあります。ここで、住宅を建てる人は、どっちにしようかなと考えます。どっちが得かな,と。

ガス会社は自社の商品を高く評価するし,電力会社は、自分のところの良さを宣伝します。山口さん、どっちがいいんですか?と施主さんからよく聞かれます。そういうときは決まって,純粋に原理だけを考えると,ガスが断然得です,ただ、電気は電力会社の割引とお宅の使い方によって,ガスよりも安くなることがあります,と答えています。

というのは,電気を作るためには結構なお金がかかっている一方,ガスは輸送費はかかるものの,基本的には燃えるものをそのまま使っているだけなので,原理だけをなぞれば,それはもちろん,ガスが特になるはずです。電気は機械的に優秀な製品が登場して以来,お湯を湧かすことやIHに代表される調理に使う熱源が、信頼性を得るに従って次第に勢力を伸ばしています。

電気の方がエコです。と聞こえてくることがありますが,それは実は自分の家の中だけを考えたときの話であって,家にくるまでにずいぶんんと、エネルギーをつかっているのです。残された取り柄は,調理時にコンロ回りの油汚れが少ないという利点があるくらいの話です。

結局のところ,これは、少数派ではあるけれども,世界平和を望む気持ちで,ガスを選ぶのか,それとも、自分の家は汚したくないので,電気にします、というのか、その程度の違いだろうというのが,僕の理解の仕方だし,説明の仕方です。電化住宅が普及してきた頃に料金の値上げをするのは、電力会社が勝手にできることも覚えておきましょう。一言でいうと,世界平和か、家庭平和かということになります。こういう説明をする人もめずらしいかも知れません。

あなたはどっちですか?