MINKAを学び、DOMAに行き着く。

海外の方からも、「MINKA」という表記で日本の民家は知られています。日本の伝統住宅、というのもありですが、MINKAといった方が直裁的に伝わり易いようです。

(近所の古民家)

ひとことで言えば、温故知新といえますが、私たちの感覚で言うと、現代だから生かせる技術がワンサとあり、その昔テレビに繋いで遊んでいたゲーム機がすべて無料でパソコンの中で出来てしまったり、ポケベルがスマホになるという技術の進み方のお陰で、昔は井戸水汲んで薪で火を炊いていた家事労働が、ボタン一つで出来てしまうという大変化をうけて、それまでは古くさい・遅れたものという印象しか持てなかったものを、現代の技術を使ってもう一度検討してみると、憧れの有名人と握手できるだけではなく、私に置き換えればドリフトキングの土屋圭市さんの助手席に座ってサーキットを走り、スッゲー!ドリフトなのに早えー!ウオー!.....くらいの、かなりグット来る空間が作れるので、たとえば私などは「土間の家」を推奨するということをテーマとしています。

そもそも床を高く上げるのは、湿気から逃げるという必要性からだったのですが、コンクリートなどの近代材料を使えば、高くすることなく、湿気を遮断して「土間の家」ができ、そんなことすると、たくさん床が汚れるでしょう!?という不安には、ありがたいことに外の道もすべて舗装されているので、気になるのは雨の日くらいのもので、そんな不安は直ぐに止み、むしろ、床を作るお金が安くなり天井も高くなり解放感が得られるという直接的なお得感があります。
家の外から文字通り地続きで家の中まで繋がっていると、家の中なんだけれど、靴を履いたままだし、自分がいる床と外の地面が近いので、公な・パブリックな感覚が生まれ、住宅内パブリックである「居間・台所・食堂」等のスペースを「土間空間」にし、寝室などのプライベート性の高い部屋は床を上げてあげることで、家庭内での公私の規律も付け易いという、特典も得られます。下世話なことで言うと、床に物を置かなくなるので、一見スッキリと見えるという現代の忙しい奥様にも易しい設計になっており、玄関を広くする必要がないので、面積の圧縮に役立ちます。

熱環境の話しで言えば、床をモルタルにし、壁を土壁にすることで、熱を蓄える能力(比熱)が高まるので、部屋の中の急激な温度変化が起きにくく、より人間に優しい室内環境が得られるという、効果もあります。薪ストーブをおきたい人には、土間の家は最適で、モルタルやタイルなどにするのがいいでしょう。オプションとして私の家では置き屋根にもしていますが、これは二階室内温度が夏期では三度程下がるという先人の知恵ですので、これも余裕があれば同時に活用すべきでしょう。
そんな「土間の家」も、三軒できており、ただいま四軒目が進行中ですが、戦前は当たり前だった「土間の家」が、生活スタイルの変わった現代の住宅でも通用し、いやむしろ好都合なものであるということが、だんだんと確認されており、MINKAを学んで現代に生かす私たちの手法には一つの武器となっています。伊東豊雄先生もここまで言っていませんので、我々の方に、一日の長があるといえましょう。
MINKAが、認知されたあとは、DOMAも認知されるような、そんなところまで行きたいところです。