玉野市山田の塩務局出張所

たまには、建物を見に行くこともあります。

隣の市である、玉野市の山田という地区にある、「旧専売公社味野支局山田出張所」という建物です。家から40分くらいのところです。明治41年築のもので、私の実家とほぼ同年齢、100歳を超えています。児島と玉野の沿岸には、野崎家の塩田が延々と続いていましたが、この建物は、味野支局の出張所という位置付けのようです。味野支局、というのは、野崎家の本宅および事務所が、児島味野にあったからだと思います。

下見板張り(ドイツ張り)と分類される外壁の作り方で、屋根は日本瓦を葺くものの、一件洋風に見えるので、余り予算のない木造の公共建築には、多用された建て方のように思います。破風(屋根の三角部分)の作りが特徴的で、ココ以外では見たことがありません。本館と共に、渡り廊下、レンガ蔵の文書庫と、一揃え残っている貴重なものです。玄関前にある二本の石柱が、公的な印象を与え、入り口であることを明示しています。

ネットで、しらべてみると、全国一斉につくった塩務局の建物は、同じ配置で、細かい部位である破風に至っても、このような作り方が統一されていました。庇を支える方杖の意匠も全く同じでした。大蔵省の個別の施設の設計を、省内の営繕部か、それとも工部省がしていたのか、その辺のところはよく知りませんが(誰か教えてください)、東京で考えた同じものを、全国でつくっていたことは明らかでした。

この建物は、専売公社が地元の自治体に払下げて、玉野市の一部となった山田町(村?)が支所、そして公民館として利用した後、現在は玉野市社会福祉協議会しおさい」という施設となって、利用され続けています。二回お邪魔しましたが、二回とも、初老のご婦人方が何やら会合をしていました。近年、登録文化財として認定されたそうです。