日の目を見る

学生の最後の年だったから、もう8年前になる。その年に、バイブル アンド アートミニストリィーズ(B&A)という、キリスト教信仰を持つ者で芸術に関わっている人たちの任意団体(代表 町田俊之氏)のニュースレターに、卒業論文で取り組んだプロテスタントの教会堂史について、三回に分けて報告する機会を得た。その当時は土壁研究で忙しく、あまり時間が割けなかったが、出来るだけ多くの人に伝わり易いように、文章を練ったのを覚えている。

先日、その町田さんより、ニュースレターをまとめた本を出版したいので、ヤマグチさんの記事を載せてもよろしいかと問い合わせがあった。町田さんは日本において芸術を通して、特に絵画を通しての聖書理解についての第一人者だ。町田さん監修の『アートバイブル』(いのちのことば社)は、版を重ねているし、昨年には『アートバイブル2』(同左)も出版された。さらに今年も間もなく、『巨匠が描いた聖書』(同左)を単著で出版される。

この問い合わせ、正直、とても、うれしかった。自分の本ではないけど、大勢の中の一人だけれど、うれしかった。一度はこの切り口で博士論文を書いて新しい分野を開拓するのだ、などと的外れなことを考えていたのであるから。その当時は、ほかにも、クリスチャン新聞という情報誌にも小さい記事の依頼を受けていた。

出版は夏のようですが、この場でも昔のものを引っ張りだして近々掲載することにします。同じ媒体に昨年は、児島の教会の再生工事のことも書いたので全部で4回分載せましょう。8年を経て日の目を見るというのは感慨深いものがあります。三回シリーズの最後部には、こう書いていました。「私はこの春学業を終えて、郷里の倉敷に帰り建築設計の現場に入ります。蔵屋敷に囲まれながら、日本における教会堂についても想いを巡らしたいと思います。」

すでに「蔵屋敷時代」は終わっているが、また10年後に日の目を見ることが出来るよう、明日もがんばります。