先人の知恵、生活の知恵;高知県の例

高知県の住宅というのは、特に台風を意識してつくったものが多い。わが町児島では、そもそも台風が直撃することも少なく、あまりよく実感が涌かないが、沖縄や高知、そして伊勢・尾鷲などでは、長い時間継続して吹く風によって、外壁に突き刺さるように強い雨が当たることが多い。

そこで、先人たちは、通常窓の上に付ける様な庇を、壁に並べた。こうすることによって、壁に打ち付けた雨が壁を伝うことなく、壁から離れて、地面に落ちるようになる。ほんの少し、壁から十数センチ出ているだけだが、これだけでずいぶんと違う。ほかにも、三角屋根の下に外壁よりも大きく出た位置で壁をつくる「妻覆い」(三角屋根の部分を「妻」といいます)や、出来るだけ大きい屋根をつくることで、外壁を守ろうとしている例もよく見られます。

写真は事務所の西側の壁ですが、台風が少ない地域ですが、オーバースペックは承知で、実験的に付けてみた例です。おまけに、軒先から板を下げて、横から外壁に当たる雨を防いでいます。写真からは切れていますが、「妻覆い」も付けているのがわかるでしょうか。