オーバースペック、プラスティック、インスタント
過剰装備とか、過剰仕様とか、という意味の言葉、オーバースペック。
以前も書いたけど、現代の日本の住宅には要求される項目が多すぎる。生活の基本的要求に、「衣食住」という表現があるけど、「住」には、雨風を凌ぎ、落ち着いて食事や仕事が出来て、敵に晒されることなく、安心して眠りにつける。ということくらいが、基本的要求だろうと思う。その昔は、井戸から水を汲み、火を起こすのも毎回マッチを擦ったり、お風呂の度ごとに、寒い外に出て行って、薪を焼べていたのかもしれないが、そういうところは、蛇口をひねって水を出し、ボタンを押して、コンロに火をつけ、給湯器のボタンを押して、浴槽に湯を張りたい。でも、それ以上は、少々の家具家電があり、パソコンがあれば、もうこれで、足りてるように思う。広さも余り広すぎると、物置になってしまうし、掃除も大変だ。
また、材料というか、素材感も結構大事だ。ぼくが敵と目する「戦後の巨大住宅産業構造」に従うと、どうしても、石油からつくられた樹脂製のものが多用されてしまう。石油の世紀は、20世紀なんだから、そろそろ手を引いてもいいころだ。そうでなくても、量産されたものを使うのが、「善」とされている世界なので、たとえば、外壁は、同じパターンものが、並びがちだ。それはだいたい、石を模したものか、レンガを模したものが多い。偽物臭がぷんぷんで、あまり長い時間眺めていると、目がやられそうだ。
いやあ、ホントの話、良い家をつくる条件というものがあるんだけれど、それらの一つが、オーバースペック、プラスティック、インスタントをさけていくことだとおもう。これをすれば、良い家に近づく。
小さい頃に手を動かして、自分でつくった折り紙の感覚を忘れずに、明日も現場に立ちたい。