小さな小屋と小さな棚

今日、初めて通る道で、かわいい建物を見つけた。



近づくと、消防機庫らしかったが、今でも本当に消防車が中にあるのか疑わしいほど、小さいものだった。外観は、破風の赤色と、両開き扉を補強するためのウレタン塗装コンパネのカラシ色とが、きれいなコントラストを見せていて、間に挟んだグレーのモルタルが緩衝剤としての働きを担っている。狙ったわけではないだろうが、きれいな配色だ。焼き杉板の様に見える板は実はコールタール塗りで、土壁中塗りの様に見える部分は色粉を混ぜたモルタル吹き付けだ。その外壁は、程よくこなれていて、鎮守の杜に抱かれつつ、町を守るその頭には、「防」の字を頂いた懸魚。ここでのポイントは屋根の角度で、急勾配の屋根は、建物の存在感を際立たせる道具としてもってこいだ。この建物、元は別の用途で、後に消防機庫に転用されたののかもしれない。今度、近所の人に聞いてみます。

もうひとつ。
ある物件で一番気を使ったのが、この小さな棚。棚なんかよりも大事なところはあるだろうに、一番気を使ったのがこの棚とは、どういうことか。でもそうなんです。玄関脇で、さりげなくすっきりと、必要なだけの広さで、しかも安くつくる。材料は杉の足場板で、安さはこの上ないが、形をキレイに整えれば、いけるだろう、と。現場に行く前に食べたうどん二杯よりも安い材料代。あとは大工さんよろしく、てな具合だ。