fotologueに写真追加

自邸写真に三枚追加しました。
http://fotologue.jp/senyoshi/#/8630836/9818585

いくつか解説します。
最初の写真は,事務所棟の入り口を住居棟の入り口から撮っていますが,事務所棟の外壁は,漆喰に砂を混ぜて,さらに茶色に調合した色粉を混ぜています。土のように見えますが,漆喰です。右手の白色の壁は,色粉を混ぜる前の砂漆喰です。外壁と地面が接するところには,庭に使うような丸い石を埋め込んでいます。普通この部分は,コンクリートの基礎が見えるところですが,興ざめするので隠しています。外壁と地面が接するところや,屋根と空が接するところは重要です。その様子はこちらでも見えます。http://fotologue.jp/senyoshi/#/8630836/8631321 その他,外壁をより土っぽく見せる為に,外壁の角を丸くしているとか,左側に見える透明ガラスが外壁にぶつかるところは,よりスッキリ見せるために,実は,ぶつけていなくて,1センチ開けているとか,マニアな方がやっと気付くようなことも書いておきます。普通の人はこのワザ(ディティール,と専門用語で言います)には気付きませんが,こういう細かいことの積み重ねが,道行く人が道路から,チラっと見たときの印象につながっています。玄関に掛かっている絵のように見えるものは,大倉美弥さんの切り絵です。白い壁の中は便所です。大倉さんのページhttp://kacon.nomaki.jp/

二枚目は,住居棟入り口を事務所棟入り口から撮っています。住居なので,入り口建具は閉鎖的にするため,かなり細かい格子にしています。格子の隙間からレンガの壁と薪ストーブが何となく見えます。外壁の焼き板は,便所の中に続いています。こういう写真を撮るときは,画角の中に照明器具を入れないことも大事です。目立つべきは,照明に照らされた「切り絵」の方です。

最後の写真は事務所棟の前庭の塀です。この焼き板は,15ミリ程度の厚みに加工した杉板の表面を焼いているもので,表面を炭に覆われている為,腐食に強く,また見た目にも炭の持つ黒は,塗装による黒などと違って心地よいです。炭化した板の表面が「ウロコ」みたいに見えて,見方によってはそれ自体が装飾の様に見えます。焼き板の下にいる植物は,「ダイカンドラ」という北米産の下草で,下草(グランドカバー)としてよく使われるものです。昨年の6月頃に種を撒き,ようやく落ち着いてきました。よく使う下草は,ダイカンドラ,フッキソウ,芝,アイビーくらいです。事務所棟の前の庭は,ダイカンドラ。住居棟の前の庭は,芝(ヒメコウライ)にしています。

建築家の多くは,「どういう思いで作ったのか」ということは話しますが,「どのようにつくったのか」というのは,あまり話しません。技術情報を広めたくないのかも知れませんが,そういう面に加えて,建築系の人は,自分自身で手を動かさないのも手伝って,建物そのものよりも,建物と社会/人との関わりの方に興味を持っているからかもしれません。逆に美術系の人は自分で作るので,モノそのものについての執着が強いともいえます。僕自身は,土木を五年間学んで,大学では,建築史研究室にいたので,モノと社会の両面を語りたいものです。またこの先は,伝統的技術を現代に生かしつつ,楢村さんから学んだデザイン論をさらに押し進めたいと思っています。