直島へ40分

直島へ40分,倉敷へ40分,総社へは50分,岡山へ50分,そして高松へ30分。児島という地域はこういう場所に位置している。直島では毎年のように新しい企画が発表され,特に来年は瀬戸内国際芸術祭と称して,直島ほか,いくつもの島を結んで,海で繋がるアートのお祭りをしようとしている。個人的には,安藤忠雄さんや西沢立衛さんの美術館よりも,このお祭りと同時期に彦坂尚嘉さんが琴平に続いて関わろうとしている,本島での個展に注目している。本島へは,児島から船で30分で行ける。この島は,直島や他の会場よりも,とても質の高い建物が群として集積している島で,実際,倉敷などと同様に,「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されている由緒正しき町だ。前々から感じていたから書くけど,直島的と言うか福武さん的な芸術運動は,少々刺激に欠ける部分があって,どうしても評価の定まった美術作家や建築家を招聘する癖があって,「こどもちゃれんじ」を毎月愛読している僕としては,ちと「ちゃれんじ」精神に欠けるんじゃあないかと,前々から感じている。建築に限って言うと,若き日の石井和紘さんの建築物群の方がよっぽど刺激的だ。福武さん自身が美術や建築に詳しい方ではないから「権威」を求めるのは,無理もないが,北川フラムさんの今年の越後妻有での出展作品を見ていると(こちらのイベントは北川さん一人で審査しているようです),アートよりもお祭りをすること自体に比重を置いている様に感じるし,「建築系ラジオ」で話題に上っている例の「こたつ問題」が起こった背景には,北川さんのディレクションがあることを考えると,来年の芸術祭もお祭り騒ぎだけで終わればいいけど,新たな事件が発生しやしないかと,変な心配までしてしまいます。やっぱり直島が輝いていたのは,秋元雄史さんがいた時期なんでしょうか。
こんなことを書くのも,例のSWとやらに,児島から40分の直島へ行ったからでした。新作品である大竹伸朗さんの直島銭湯「アイラヴユ」に行きましたが,体験型の総合芸術である銭湯建築は,気持ちよくいい時間が過ごせました。はじめて地中美術館に連れて行った義理の父母の感想は,「4つしか見るものがない美術館なんてあり合えない!」という素人らしく素直なものでした。ちなみに,僕の息子(4歳半)が一番興奮していたのは,その銭湯と,フェリー乗り場脇にあるカボチャの巨大オブジェ(草間彌生さん)で,彼は草間ドットに紛れて,ポコポコあいてる穴から顔を出して,こっちだ!こっちだ!と親を振り回して,ぼくなんか,目が回ってしまったのでした。そういえば,スタンダード展のときに出現していた,妹島+西沢の金属で作った葉っぱの集団のようなオブジェが姿を消していました。あれは,あの期間だけのものだったのでしょうか。